ホーム社会学ベーシックス / 推薦のことば

社会学ベーシックス

推薦のことば

社会学ってな~に?

上野千鶴子(社会学者・NPO法人ウィメンズ アクション ネットワーク理事長)

社会学ってどんなことやってきたの? と「就活」面接で聞かれてもうまく答えられない。社会学って、何年やってもよくわからない学問だ。社会学って教える学者の数だけあるっていわれる。社会学にはこれだけ読めばわかるっていう教科書もなければ、共通のカリキュラムもないみたいだ。

でも社会学にも、やっぱり「ベーシックス」がある。これこそが、ザ・社会学だ、って呼べるような先人たちの業績のリストだ。社会学って、もともと自分が属する、生きて動いている社会を理解したいというあつい動機から生まれた。ここにあるのは、社会を分析するためのツールの在庫、そしてそのツールを使ってみせたあざやかな切れ味の軌跡だ。

ウェーバーもデュルケームも知らなくてよい。ウェーバーのように、デュルケームのように、自分の生きた社会に向き合えばよい。「社会学ベーシックス」の役割は、読んだふりして知識をひけらかす材料になるのではなく、気持ちをそそられて原典に向かうためのナビゲーターだ。先人たちの背をみれば、ははーん、こうやればよいのか、とわかってくる。今でも使いものになるツールと、使えないツールの区別もわかってくる。

そうすればきっとこう答えられるようになる。社会学ってな~に?…わたしのやってることよ!

見えない〈社会〉のありか

鷲田清一(哲学者・大阪大学総長)

わたしたちは徹頭徹尾、社会的な生きものだ。日々のふるまいだけでなく、言葉も思考も、そして感情すらも、社会という場面ではじめて可能になる。考えれば、社会ほどリアルなものはない。ところがいざ社会がどういうものか、どこにあるかと問えば、とたんに輪郭があいまいになる。幻のようにほどけてしまう。まるで蜃気楼みたいだ。

〈社会〉とは何か? 社会学の仕事はこの問いに尽きている。問われている対象は、それへの問いのなかにしか現われてこない。だから、これから社会学を学ぼうというみなさんは、「このわたしの存在そのものが、一つの社会問題なのだ」という地点から、学びを開始したらいいのだとおもう。

他者、家族、身体、性、仕事、消費、スポーツ、流行、情報、都市、差別、貧困、政治……。このシリーズには、生きるということと無縁な問題は一つもない。それらをどう問題として浮き彫りにするか、そういう思考の格闘の歴史がここには詰まっている。

〈社会〉は、わたしたちをがんじがらめに括りつけながらも、同時に、他者たち、そしてモノたちとの、新しい関係をどんどん生成させてきた。わたしたちを括りつけるそういう見えない精緻なシステムに気づき、しかも意外なところに口を開けているその隙間、その綻びを見つけるためにも、このシリーズは役に立つとおもう。問わなければ姿を見せないのが〈社会〉だからだ。

シリーズ一覧

全10巻+別巻1
井上俊(大阪大学名誉教授・関西大学客員教授)・伊藤公雄(京都大学教授)編
本体2,000円(税別)/四六判/並製/各巻平均270ページ

社会学ベーシックス